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時計師の工具③ 穴石調整器

時計の軸受には、ベアリングではなく、ルビーやベリリウムのブッシュで支持されている部分が多く存在します。

これらのブッシュは、軸やプレートの摩耗を防ぐ目的で取り付けられていますが、ブッシュの高さを変える事で歯車同士の高さの関係を調整したり、歯車の縦方向の遊びを調整するという側面も持ち合わせています。

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これはブッシュを調整するための専用工具です。
恐らく現在では最も普及している、HORIAの穴石調整器です。
私が所有しているのは、セットするコマが最も少ないタイプですが、これでもかなり高価な工具です。

昔はサイツと呼ばれるレバーで押し込むタイプの調整器も所有していましたが、レバーに当たりが付いていてあまり状態が良くなかったためか、ブッシュの押し込み位置の微調整が上手く出来ず、押し込んだ石が割れたり…と言う状態だったので、手放してしまいました。

スピンドル部にはマイクロメーターのように数値が刻んでありますが、実際の作業時にはこれは目安と考え、実物の状態、組んでみてのクリアランス確認をすることが非常に重要です。
また、穴石調整器の操作を間違えると、プレートに致命的なダメージを与えたり、ルビーを割ったりしてしまいますので、使用時には適切なサイズのコマを選ぶことが大事です。
純正のコマのフルセットは非常に高額なので、私は必要に応じて旋盤で削り出す事にしました(笑)

タガネや旋盤と違って、本になるほど色々な作業が出来るような工具では有りませんが、時計師の必須工具のひとつです。

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